ベルセルクから見る作者の描きたいものについて
一番最初、ベルセルクを読んだ感想は最初の5巻程度(黒い剣士)辺りはつまらなくはないけどよくわからない話だなという印象だった。
そして回想に入り一気に引き込まれて黄金時代はまさにこの作品を唯一無二の物にしたと言っていいだろう。
そして読む手が止まらぬまま作中の戦の終わり~というモノローグと共に物寂しさを感じていた。その物寂しさを感じていたところに蝕が起こりそのままあぁ、この話ってこれで終わりだなぁとふと感じてしまった。
話はまだ終わってないにも関わらず、だ。
その後の話も最初の頃のようなつまらなくはないけどよくわからない話だなーと何とも漠然と思ったのだ。
一重に読み手として何にも考えずに読んでいたというのはある。だからこその感想とも言えるが。
ちなみに極最近読み返してよくわからないと感じていた部分もしっかり面白くてちょっと驚いた。
なんでこんな感想になるのかと疑問に思っていたら現白泉社社長鳥嶋(通称マシリト)と作者の対談を読んで納得。
かい摘まんで説明するとマシリトの漫画家として全てを出し切ってすごく気持ちよかったはずだ、漫画家としての寿命は終わったこれに尽きるのかな、と。
作者自身膜を一枚挟んで描いてるとも言ってるし描きたいものを描ききるという気持ちで描いてあの蝕までで全てを描ききったと満足してしまったのだろう。
逆に言えばあそこまでで魂を全てつぎ込んだからこそ最高傑作であり今はやりたいことをやりきったからこその進み具合というか。
絵のこだわりは漫画家としてではなく画家としてのこだわりでそれもなくなったらぱったり描かなくなるだろうと思う。
同じように魂を全てつぎ込んだ作家は冨樫だろう。
こちらはやりたいことではなくやらされて、だけど。そりゃ描かないよね。お金もあるし。